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【過去2週間で最も読まれた記事】【特別無料掲載】【浦研プラスインタビュー&ストーリー】平川忠亮ー16年目の旅路

2017年03月13日 16時00分 
カテゴリ: ★無料記事コラムニュース島崎英純最新ニュース浦研インタビュー

 

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初めて彼と出会った時のことをよく覚えている。まだクラブハウスがプレハブだった頃の大原グラウンドで、全体練習後に新卒同期の坪井慶介とボールを片付けていた。坊主頭の坪井はひと目で新人だと分かる態度だったが、彼は10年くらいチームに在籍しているかの落ち着きようで、『ツボ、早くボールよこせよ』と仲間を顎で使っていた。

当時の彼はどこか斜に構えていて、いわゆる不良のような佇まいを醸していた。しかし、そんな表向きの印象は誤解だったと知る。初めて言葉を交わし、その心根に触れた時、彼がどれだけ思慮深く、仲間思いで、情熱的な人物だったかが分かった。

筆者は当時、サッカー専門誌の浦和レッズ番記者を務めていた。そこで、すぐにでも彼のインタビューを掲載したいと思った。1979年生まれの、いわゆる『黄金世代』。清水商業高校では小野伸二(札幌)と同期で、自らはすぐにプロ入りできなかったが、筑波大への進学を経て、満を持して浦和へ加入した彼に興味を抱いた。しかしサッカー専門誌の企画会議では彼のインタビュー企画を真っ先に却下された。『バリューがない』、『新人の中でも地味過ぎる』、『そもそもレッズじゃあ、注目されない』……。

隔世の感だが、2002年当時の浦和は2000年のJ2から一年でJ1へ復帰したものの、その後は常に中位を彷徨う凡庸なクラブだった。そんなチームの大卒新人にインタビューをしても売上部数は伸びない。それが編集部内の一致した答えだった。それでも食い下がってプレゼンした結果、彼のインタビューのためにモノクロの1ページを与えられた。たったの1ページである。

大原グラウンドに建つプレハブ小屋に隣接したベンチで彼と話し、、それを原稿にまとめた雑誌は、すぐに彼に見せられなかった。目立たない白黒の1ページに追いやられた誌面が申し訳なかったからだ。そんな彼が、雑誌発売の翌日に筆者を呼び止めて、こう言った。

「友だちから 、『お前のことが載ってるぞ!』って雑誌を見せてくれたんです。俺のインタビュー、載せてくれたんですね。ありがとうございます! 友だちからこう言われたんです。『お前のことをよく分かってる人が話を聞いてくれたみたいだな』って。だから、友だちに言っておきました。『そうなんだよ。プロになって初めて声を掛けてもらった人なんだよ。誰よりも俺を知ってくれている人なんだよ』って」

サッカー記者になってわずか半年だったから、この選手の言葉が心から嬉しかった。有難かった。僅か1ページのインタビューは、かけがえのない財産になった。宝になった。誇りになった。

 

新たなるシーズンへの決意

 2017年シーズンの幕開け。沖縄での2度のキャンプで、平川忠亮は淡々と、黙々と鍛錬に励んでいた。

「プロ生活も16年目で、このサイクルには慣れているからね。今は、このキャンプが楽しみでもある。身体がきついけど、長い時間を掛けてシーズンを戦える力を身につける工程は嫌いじゃないかな」

2017シーズンを戦い抜くためにフィジカルを強化するキャンプで、彼は一度も別メニュー調整をせず、常にチームの全体練習に参加した。20歳代の頃は負傷しがちで度々チームから離脱することが多かった。それだけに、今年の5月1日で38歳になる選手のキャンプでの逞しい振る舞いに、とても驚いた。

「まあ、足が張ったりはしたけども、その都度メディカルスタッフに治療してもらいながら、今のところは順調に過ごせているかな。そもそも今季はチームの選手数が限られているから、紅白戦やミニゲームなどもギリギリの中で練習している。選手がひとり、ふたり余っていれば『今日はゲームに参加しなくていい』という指示もあるかもしれないけど、今はゲームができる最低限の人数しかいないからね。その点では『休めないな』とは思うし、それが充実感と共に緊張感にも結びついているかな。天野さん(賢一コーチ)も練習に参加できるんだけど、やはり練習の質を求めるならば、すべての選手がプレーした方がいいからね」

力をセーブしているようには見えなかった。シャトルランなどの心肺機能強化のメニューでは平均ペースで駆け抜けたし、持久走も仲間に決して遅れを取らなかった。

平川は昨年、久しぶりに大きな負傷を負った。練習中のミニゲームで相手と交錯して右足首の重い捻挫と診断された。リハビリ期間は約2か月にも渡り、チームから離れることを余儀なくされた彼はしかし、この時に意識改革したという。

「去年は久しぶりに大きなケガをしたんだけど、それが良いポイントになった。30歳過ぎからはケガをしないようにという意識が出てきて、無理をしなくなっていた。20代の頃は力をセーブすることなんてしなかった。でも、何度もケガが続くと選手生命に関わるし、プレーの質も落ちていくだろうと思ったから、最近はケガをしないことに集中してきたけど、今は『ケガをするときはする。その中で、危険な状況でも飛び込んでいく。ギリギリのところでやっていかないと、選手の価値は低くなっていくのかな』と感じている」

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